Yoshiki Uchida's homepage

South China Normal University
(華南師範大学)

大学城キャンパス

研究概要

私は階層性問題や、暗黒物質の問題の解決に取り組んでいます。 特に、スカラーセクターの拡張に焦点を当てて研究しています。 スカラーセクターを探索するため、トップダウンとボトムアップの両方面からアプローチしています。 私の主な研究対象は以下の通りです。


有効理論を用いたスカラーセクターの解明

模型に依存しない形でスカラーセクターを探索するには、有効理論のアプローチが有用です。 しかしながら、有効理論には規定の取り方からくる曖昧さがあります。 有効理論から真に物理的な情報を抜き出すために、スカラーセクターのターゲットスペース(スカラー場を座標軸とみなしたときの内部空間)に注目し、 それが形作る幾何学で物理量を記述する研究に取り組んでいます。 フェルミオンが関与するセクターにも幾何学的アプローチを拡張し、このアプローチがフェルミオンに対しても有効であることを確かめました。


暗黒物質の物理

暗黒物質の中でも、Weakly Interacting Massive Particle (WIMP)は魅力的な暗黒物質の候補です。 ただし、WIMPは直接探索実験によって厳しい制限を受けています。私はこの問題を、スカラーセクターの拡張によって解決しようと試みています。 中でも私は、擬南部-ゴールドストーン暗黒物質(pNGB DM)模型に焦点を当てて研究しています。 我々は、pNGB DM模型を非可換ゲージ対称性の枠組みに組み込むことに成功し、UV complitionでかつ安定な暗黒物質を予言することに成功しました。 現在はこの模型を大統一理論(GUT)に埋め込む研究を進めています。

また、非熱的な過程によって暗黒物質の残存量を説明する研究も行っています。 B-L対称性がゲージ化された模型において、3つの右巻きニュートリノのうち一つがステライルニュートリノ暗黒物質になる模型を想定して研究しています。 B-Lゲージ対称性を自発的に破るスカラー場の効果はこれまで見落とされてきましたが、これが非熱的過程において極めて重要な影響を与えることを見出しました。


余剰次元理論

階層性問題を解決するひとつの手段として、ヒッグス粒子の質量に対する量子補正を相殺させる方法があります。 余剰次元に背景磁場を導入すると、フェルミオンのカイラル性を実現できると同時に、スカラー場に対する量子補正を相殺させることができます。 背景磁場を持つ余剰次元理論に、整合的なスカラー場質量を導入する研究を行っています。

2024.4.3 私について・著作・講演ページを更新しました
2023.11.30 著作ページを更新しました
2023.9.28 Miscページを更新しました
2023.9.26 Miscページと更新表を作成しました